がん(癌)の痛みと薬剤

シェアする

がんに関連する疼痛は様々ですが、共通して言える事は痛みは慣れないし、QOLを下げるという事です。

この記事では、今がん性疼痛に苦しんでいる方、これからその可能性がある方々に、少しでも痛みが和らげる生活を送ってほしいと思い、まとめました。

参考になれば幸いです。

がんと痛み

がんになると痛み(疼痛)が表れます。疼痛は主観的であり、患者本人にしか分かりません。

治医や看護師に正確に痛みの種類を伝えることは難しいですよね。主治医が痛み止めを処方する際に知りたい情報は、疼痛がどこから表れているのかです。

がんによる疼痛は大きく4つに分けられます。

  1. がん自体を原因とする疼痛 ⇒がんの場所が痛い
  2. がんに関連した疼痛    ⇒骨転移の痛みや関連する内臓の痛み
  3. がん治療により起こる疼痛 ⇒口内炎などの副作用
  4. がんによる合併症の疼痛  ⇒蜂窩織炎など

痛みを伝える時のポイント

どこが痛い?

⇒ピンポイントで痛いのか、痛みが移動するのか、どの範囲かを伝えてください

どんな時に痛い?

⇒安静にしていても痛いのか、動くと痛いのか、どの動きで痛みがあるのかを伝えてください

どのくらい痛い?

⇒10を一番痛い時、0を全く痛くないとする11段階で、今がどのくらい痛いのか伝えてください。

どんな痛み?

⇒鋭い痛みか、鈍い痛みか、ズキズキするかなど、痛みの種類を出来るだけ伝えてください

痛みの経過は?

⇒薬を使う前と比べてどの位楽になったか、先ほどの11段階で伝えてください




痛み止めの種類

がん性疼痛。よく病院で処方される鎮痛薬・

<非麻薬の痛み止め(消炎鎮痛薬:NSAIDs)>

ロキソニン

炎症を抑え、炎症に伴う腫れや痛みを和らげ、熱を下げます。
通常、関節リウマチ、変形性関節症、手術後や抜歯後の消炎鎮痛に用いられる。
原則、1回1錠の1日3回まで。
副作用は胃部不快感、吐き気、嘔吐、食欲不振、浮腫、眠気、かゆみなど

ボルタレン

炎症の原因となる物質の量を減らす事で、炎症や腫れ、筋肉の痛みを軽くします。
通常、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症などの消炎鎮痛に用いられます。
通常、1回1錠の1日2回まで。(座薬のボルタレンサポは6時間以上空ける)
副作用は胃痛、胃部不快感、かゆみ、湿疹、眠気など。

<医療用麻薬(オピオイド)>

トラムセット配合錠

中枢神経系に作用し、痛みを抑える弱オピオイド製剤です。
消炎鎮痛薬で痛みが抑えられない場合に用いられます。
通常、1回1-2錠を1日4回服用可能です。
副作用は意識障害、蕁麻疹、呼吸抑制などがあります。

モルヒネ

中枢神経に作用し、強い除痛効果のあるオピオイド製剤です。
除痛効果も長く、がん性疼痛に対して用いられます。
副作用は便秘、眠気、吐き気、めまい、蕁麻疹などです。

オキシコドン

中枢神経系に作用し、痛みを抑える強オピオイド製剤です。
中等度から高度の疼痛を伴うがん性疼痛に用いられます。
通常、1回5-40mgを1日2回(12時間間隔)で服用します。効果的で副作用の少ない用量に調整されて処方されます。
副作用は眠気、便秘、吐き気、めまい、蕁麻疹などです。

フェンタニルテープ

強オピオイド製剤で、モルヒネより強力です。腎で代謝されないので、透析患者にも使えます。
持続する強い疼痛の緩和に用いられます。
通常、1日1枚を皮膚に貼り、72時間効果が持続します。
副作用として、眠気、便秘、吐き気、嘔吐、添付部のかゆみが出現します。

タペンタドール

オピオイド製剤で、ノルアドレナリンの再取り込みを阻害することで鎮痛します。
中等度~高度の痛みを伴うがんの鎮痛に用いられます。
通常、1回50-400mgを1日2回に分けて服用します。効果的で副作用の少ない用量に調整されて処方されます。
副作用として、便秘、吐き気、傾眠、嘔吐、添付部のかゆみが出現します。

メサドン

神経障害性を伴う難治性がん疼痛にのみ使用します。
1日5-15mg、1日3回服用します。投与後7日間は増量できません。

麻薬の常習性について

欧米諸国では、麻薬の常習性が問題になっています。

医療用麻薬は日本においては医師の処方がないと入手できませんが、外国では薬局で販売されています。(アメリカでは州により異なり、個人情報を登録することで買える州もある)

一般人が麻薬を常習化し、さらに強烈な麻薬へ手を出してしまう。その結果、犯罪へ繋がる。というニュースが流れています。

そのため、麻薬はあまり使用しない方が良いという誤った情報を耳にするかもしれません。

しかし、がん患者における麻薬の使用は、常習性が低いと言われます。

炎症による疼痛を鎮静化するために麻薬を使用した場合、常習性が低いためです。

がん性疼痛は我慢せずに、主治医や看護師へ相談してください。




薬と併用して痛みを和らげる方法

痛い場所を温める

☞痛みは防御反応です。血液から痛みを脳に伝える物質を傷ついた組織に集めることで、生体の修復を手助けしています。

その個所を温めると、血流が増し、痛みを脳に伝える物質を多少なり流し、痛みの発生を和らげます。

また、温熱刺激により痛みを感じる感覚を一時的に麻痺させることもできます。

これはあくまで、局所温熱のお話です。がん治療に用いられるハイパーサーミアのことではありませんので注意してください。

マッサージを受ける

☞痛みの原因が、がん自体であれば改善は難しいですが、痛みの原因が二次的であれば、マッサージの効果が見込めます。


がんの痛みについて

日本は外国に比べてがん性疼痛に対する考え方が遅れています。

アメリカやヨーロッパでは、疼痛は適正使用量を越えてでも疼痛を積極的にコントロールするという考え方が一般的です。

日本の医師も疼痛は積極的にコントロールするべきと考えていますが、患者さんは少しの痛みは我慢するべきだと考えがちです。

痛みは幸福度を下げてしまい、治療に対する気持ちも落とします。

すべてが悪循環です。

疼痛の研究では、「痛みに慣れることはない」と結論をだしている研究者もいます。

我慢しても良くなりません。大切なのは、痛みを伝えることです。

痛みは主観的であり、本人にしか分からないのです。

この記事が、一人でも多くのがん患者さんの痛みに対する考え方を変えることを願っています。