肝臓がんの基礎知識

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肝臓がんは男性29人に1人、女性55人に1人の割合でなる病気です。男性のがんの罹患率5位であり、珍しい病気ではありません。肝臓がんについて理解を深めて頂けると幸いです。

肝臓がん

肝臓がんの主な種類として、肝細胞がん、胆管細胞がん、胆管のう胞腺がん、混合型肝がん、未分化がんに分かれます。
肝臓は知覚神経がないので、初期の炎症では自覚症状がありません(沈黙の臓器と学生の時に習いました)。

肝臓がんの種類

肝細胞がん

(肝臓がん全体の90%)

肝細胞ががん化しているもの。肝臓がんといえば、肝細胞がんを指します。

胆管細胞がん

(肝臓がん全体の5%)

肝臓内にある胆管に腫瘍ができたもの。

胆管のう胞腺がん

(肝臓がん全体の0.2%)

肝内胆管由来の肝臓がん

混合型肝がん(稀)

肝幹細胞や前駆細胞・癌幹細胞から分化した腫瘍

未分化がん(稀)

進行が早く、分子の小さい肝細胞がん

転移性肝がん

多臓器から肝臓へ転移したがん(大腸40%、胃35%、胆膵15%)。

消化器系のがんから転移してくる傾向にある。

肝臓がんの原因

B型あるいはC型肝炎ウイルス感染から発症した肝硬変や、アルコール性脂肪肝炎、非アルコール性脂肪肝炎です。

注意するべきは、アルコールと感染ですね。

肝臓の機能

胆汁の生成

消化を助けるための胆汁を、1日700~1000㏄作ります。

栄養分の調整・貯蔵作用

小腸で吸収したブドウ糖、果糖、アミノ酸、脂肪酸などをグリコーゲンという物質に変えて筋や肝臓に貯蔵され、残りは脂質に合成されます。このグリコーゲンは必要なときにブドウ糖に変えられ、体を動かすエネルギー源となります。血液中のグルコースが不足すると(血糖値が低下すると)、肝臓は貯蔵しておいたグリコーゲンを再びグルコースに変えて血液中に送り出します
タンパク質は肝臓でアミノ酸から合成され、体の組織を形作る成分として使われます。余ったものはグリコーゲンとして肝臓に貯蔵されます 。
脂肪組織(皮下脂肪など)に貯えられていた脂肪はいったん肝臓に運ばれてから、かたちを変えてエネルギーとして利用されます。脂肪酸の形で吸収された脂肪は、コレステロール、中性脂肪を合成する材料になります。

解毒作用

体組織を形づくっている蛋白質は新陳代謝によって分解し、毒性のあるアンモニアを生成しますが、これを無害な尿素という物質に変えます。その他の毒素や細菌、薬物なども分解し、無害な物質に変えます。

肝臓は血液中に紛れ込んできた有害物質を分解して、無毒化しています。腸から吸収され肝臓に運ばれたアルコールは、肝臓内でアセトアルデヒドから酢酸へと分解され、最終的には二酸化炭素と水になって体外に排出されます。

赤血球分解作用

古くなった赤血球中のヘモグロビンを分解して、ビリルビンや鉄分を生成します。ビリルビンは肝臓で処理され胆汁の材料となり、鉄分は新しい赤血球の材料になります。

アルコール分解

アルコールは上部消化管より吸収され、90%以上が肝臓内でアセトアルデヒドから酢酸へと分解され、二酸化炭素と水に変わって体外に排出されます。飲み過ぎなどでアセトアルデヒドが蓄積すると、二日酔い、肝障害などの原因となります。肝臓でのアルコールの代謝は一定の速度でおこなわれるため、飲み過ぎると肝臓に過負荷がかかり、アルコール性肝炎などに繋がります。

血液凝固因子の生成

肝臓は、血液凝固に重要な役割を果たす物質(プロトロンビンやフィブリノゲンなど)の大部分を生成しています。肝機能が低下すると血小板の値が下がるのは、この機能が障害されるためです。

肝臓がんの症状

肝細胞がんの多くは肝硬変に多く発症します。

そのため、肝臓がんを考える時には、肝硬変症状と肝細胞がんの浸潤による機能低下を考える必要があります。

肝硬変の症状として、黄疸(白目や皮膚が黄色になる)、くも状血管腫(胸などに赤い斑点)、腹水(お腹に水が貯まる)、羽ばたき振戦(手を上げて落とした時にパタパタと手が震える)、肝性脳症(意識が遠のく)、浮腫(全身のむくみ)があります。

また、肝硬変からのアンモニア血症を併発している場合もあるので、転倒や不穏にも注意が必要です。

肝臓がんの治療

肝臓がんの根治治療は切除手術になります。

肝内胆管閉塞によるステント療法

プラステックまたは金属が網のようになっている筒状のものを、閉塞している部位にステントを留置する治療が一般的です。閉塞された胆管をステントで再開通することで、黄疸も改善されます。ステント術は一定期間で再処置が必要になることもあります。

金属

金属ステントの大きさは数mm~数cmとサイズがあります。病変や病態に応じて使い分けが行えるように、長さ、太さ、形状も様々です。ステント留置後は半永久的に埋め込まれます。進行して網目から腫瘍が浸潤した場合、内側にステントを留置することも可能です。

Epic™ Biliary Stent

チューブ

チューブは主にプラステック製で、ストローのようです。留置と抜去が比較的容易なのがメリットです。細いので後々閉塞する可能性もあります。その場合、再留置が行われます。

プラステックステント

プラステックステント




肝臓がんまとめ

肝臓がん治療で完治は肝臓の部分切除術です。

しかし、肝臓内に転移が多い、肝臓以外へ転移しているケースでは、切除術が選択できない事もあります。

その場合、抗がん剤や放射線治療を行う事になります。

肝内の胆管が閉塞した場合は、ステント術を行い処置します。

肝臓がんは決して珍しい病気ではなく、消化器からの転移でおこる転移性肝がんにも注意が必要です。

こちらも参考に☞肝臓がんのリハビリ