脳腫瘍、脳転移

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脳腫瘍は、原発性脳腫瘍と転移性脳腫瘍に分けられます。

転移性脳腫瘍は、すべての臓器がんで起こる、怖い病気です。

脳転移がわかるころには、多発転移しているケースも少なくありません。

骨転移同様に、定期的な検査が必要です。

ここで脳腫瘍の基本を学び、脳腫瘍予防に役立ててください。

原発性脳腫瘍

脳の細胞や脳を包みこむ膜、脳神経などから発生した腫瘍です。良性と悪性に分別されます。

脳腫瘍の種類と悪性度

原発性脳腫瘍の検査

CT、MRI検査がまず行われます。

MRIの方がより詳細な情報を得る事ができます。脳腫瘍の確定診断のためには組織診断が必要ですが、実際には画像で推測することが多いです

MRIのT2強調画像で脳腫瘍は高信号域として描出されますが、腫瘍周囲の脳浮腫も高信号域として描出されるので、境界が明瞭になりません。

その際は、血管造影CTを用いて識別可能となります。

原発性脳腫瘍の治療

良性も悪性も治療の基本は手術となります。

手術による腫瘍縮小が症状の改善につながるからです。

しかし、膠芽腫は完全に摘出されるのは困難なため、術後に放射線治療と術後抗がん剤治療を行われる事が多いです。

原発性脳腫瘍の予後

脳腫瘍の予後は向上しており、良性腫瘍の場合、5年生存率は70%-98%です。

一方、膠芽腫の5年生存率は16%悪性リンパ腫の5年生存率は48%です。


転移性脳腫瘍

他の臓器で生じたがん細胞が、血流によって脳内に運ばれ脳細胞の働きを阻害します。

症状は頭蓋内圧亢進症状や局所症状など、腫瘍の大きさや位置によって異なります。脳転移の初期の段階では症状に気付きません。

徐々に大きくなり、症状が出現したころにはかなり大きい脳腫瘍となっているケースが多いです。

転移性脳腫瘍の検査、画像診断

転移性脳腫瘍検査の場合、造影剤検査が行われます。

造影剤を使う事で、通常(T1、T2画像)では見えない病気の性質をより詳しく診断できます。

例えば、脳への転移があるかどうかを調べる際には、造影MRIでは描出できるのに、CT検査や造影剤を用いない単純MRI検査では、小さな病変が描出されないことが割とあります。

腫瘍や炎症は造影されることが多いので、造影剤を用いることにより、病変部位と正常部位のコントラストがより明瞭になることが多いです。

脳転移MRI

転移性脳腫瘍の原発巣頻度

1位:肺がん

2位:乳がん

3位:直腸がん

肺がんの治療から脳転移診断までにかかる平均期間は約7カ月、乳がんは42-60カ月とも言われており、定期的な画像診断を受けることをお勧めします。

転移性脳腫瘍治療方法

まずは放射線治療を行うのが一般的です。

転移した脳腫瘍が小さい、個数が少ない場合には、ピンポイントに放射線をあてる定位放射線治療(ガンマナイフ、サイバーナイフ)が選択されます。

もし、転移した脳腫瘍が大きい、個数が多い場合には、全脳照射が選択されることもあります。

放射線の感受性は個人差があり、効果に関してはしてみないと分からないというのが私の印象です。完治というより進行を抑える効果の方が多い気もします。

腫瘍の大きさが3cm以上の場合、放射線治療の効果が得られにくい為、手術を選択されることもあります。

そこは主治医の判断です。脳腫瘍の治療は脳外科が専門となるので、脳転移が見つかったら主治医の判断+セカンドオピニオンを検討することをおススメします。

転移性脳腫瘍の予後

脳転移を起こすと予後が悪くなります。がんの評価にはPSを用いますが、脳腫瘍の場合はより細かく評価できるKarnofsky Performance Status(カルノフスキー パフォーマンス ステータス;KPS)が用いられます。

脳腫瘍KPS

転移性脳梗塞の予後には、PRA(recursive partitioning analysis)が用いられます。

脳腫瘍の予後:PRA

脳腫瘍の症状

前頭葉の脳腫瘍

急に計算ができなくなる、記憶があいまいになる(知能低下)、今どこにいるか分からなくなる(見当識障害)
物を握ったまま離さない、離せない(強制把握反射)
手を挙げたまま下ろさない(カタレプシー)
手足が思うように動かない(片麻痺)
つじつまが合わない言動がある(失語)
肘を曲げたまま動かせない(筋緊張亢進)

側頭葉の脳腫瘍

臭いに敏感になる(鉤発作)
意識がもうろうとなり、変な行動をとるが、その間の記憶がない(自動症)
錯覚、幻覚、夢幻状態のような症状(精神発作)

頭頂葉の脳腫瘍

左側だけ食べ残しがある(半側空間無視)
左側によくぶつかる(半側空間無視)
歩いていて右側に寄っていく(半側空間無視)
左から話しかけても反応が乏しい(半側空間無視)
歯磨きや髪を乾かす事ができなくなる(失行)

後頭葉の脳腫瘍

目が見えにくい
自分の盲に気付かない

脳腫瘍による水頭症と頭蓋内圧亢進

嘔吐、嘔気がある
意識がもうろうとしている
ボーっとすることが多くなった
物忘れが目立つ
尿漏れが多くなった

以上の症状がみられたら、すぐに主治医へ相談することをお勧めします。

放置していても良くなることはありません。

頭蓋内圧亢進や水頭症は腫瘍摘出術により劇的に改善するケースが多いですが、緊急の場合には脳室ドレナージ術、脳室腹腔短絡(シャント)術、内視鏡的第3脳室開窓術を行う事もあります。

脳腫瘍のリハビリテーションの推奨

リハビリテーションを行うにあたり、全般的身体機能、日常生活動作、生活の質、高次脳機能障害を患者の状態に応じて系統的に評価する必要があり、以下の尺度を用いる事が勧められます。
全般的身体機能:KPS
日常生活動作:FIM
生活の質:FACT-Br、SF-36
高次脳機能障害の総合的評価:MMSE

脳腫瘍のがんリハビリテーションエビデンス

脳腫瘍の組織型、良性・悪性、原発性・転移性の病型を問わず、また、小児においても、脳腫瘍の運動障害に対してリハビリテーションが有効であり、ADL、入院期間、QOLの改善が期待できるため、勧められる(グレードB)
理学療法、作業療法、言語療法、レクリエーション、看護、ケースワーク等を組み合わせた包括的リハビリテーションが効果的であり、行うよう勧められる(グレードB)
脳腫瘍の高次脳機能障害に対して、訓練法を組み合わせた認知リハビリテーションが有効であり、行うよう勧められる。(グレードB)

脳腫瘍のリハビリについては、がんリハビリのページで詳しく解説しています。




脳腫瘍まとめ

脳腫瘍には良性と悪性があります。

良性は手術による症状の改善が期待できますが、悪性の場合、放射線治療や抗がん剤が選択されます。

転移性脳腫瘍は悪性度が高く、肺がん、乳がん、大腸がんで多くみられるので注意が必要です。

発見まで時間がかかり、症状が重くなるケースも少なくありません。

CTで良いので、定期的な脳検査を申し込んで下さい。