間質性肺炎のリハビリ

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近年、免疫チェック阻害薬のオプジーボの保険適応疾患が広がりをみせています。

薬価も下がり、よりオプジーボ治療を行う患者さんが増えている印象です。

ノーベル賞受賞の力は凄いです。

オプジーボを使う患者さんが増えた事で、副作用も明らかになってきました。

その中で一番目立つのが、薬剤性肺障害(間質性肺炎)です。

間質性肺炎になると呼吸が苦しくなり、日常生活が困難になります。

この記事では間質性肺炎になって行うべきリハビリテーションを述べていきます。

間質性肺炎のリハビリ

薬剤性間質性肺炎

薬剤が原因でおこる間質性肺炎のことを言います。他に、原因が不明な突発性間質性肺炎もあります。

薬剤性間質性肺炎の場合、急性増悪の重症化するケースが多いです。呼吸が苦しくなり、咳が止まらず、入院となる方が多いです。

オプジーボを使用した方の何割に間質性肺炎を発症するのか、データ集積中みたいです。

用量依存性に副作用の確立は高まると考えられますが、初回で発症するケースも報告されており、解析が待たれます。

小野薬品のホームページでも副作用の集積データが報告されてました。

間質性肺炎の症状

  • 1回換気能の低下による呼吸の苦しさ
  • 咳がつづく
  • 動いた時の息切れ
  • ばち指(指の変形)

呼吸リハビリの有効性

間質性肺炎に対する呼吸リハビリテーションは、「運動耐容能、呼吸困難、健康関連QOLの悪化や不安・うつに有効」だと言われています。

しかし、全ての間質性肺炎患者に有効ではないようです。

○MRC息切れスケールを用いた重症度別で成績を比較(神津 玲らの研究.2007)

  • MRC息切れスケール2、3 ⇒ 呼吸困難、6分間歩行距離、四肢筋力、ADL,、HQOLの全てで改善
  • MRC息切れスケール4、5 ⇒ 改善みられず

MRC息切れスケール

MRC息切れスケール

なぜ間質性肺炎の呼吸リハの効果が乏しいのか

  1. せき(乾性咳嗽)や著しい運動による低酸素血症は、運動療法を困難にします。
  2. ステロイドによる筋力低下の合併症が運動療法の効果を妨げています。
  3. 急性増悪する間質性肺炎では、(活動性低下による)筋力低下が起こっていません。
  4. 拡散障害に伴う重篤な酸素摂取制限により、常に低酸素血症状態です。

重症間質性肺炎だとリハビリはしない方が良いのか

重症(MRCグレード4、5)では、酸素投与しながらの運動療法は可能です。

また、酸素消費を抑えるための動作要領や環境の整備が必要です。

呼吸リハビリ=運動と考えられがちですが、全身のコンディショニングも呼吸リハビリの一つです

また、咳(せき)が続き、背部の筋肉痛を訴える方も多いです。コンディショニングの一つとして、背部の脊柱起立筋や広背筋、僧帽筋といった首から背中にかけての筋肉をマッサージ、リラクゼーション、ストレッチしてもらうことも、呼吸リハビリの一環として重要だと考えます。

それらを行った上で、本人の疲労度に合せた軽い運動を行っていきます。

重度間質性肺炎に対する呼吸リハビリの実際

1.呼吸方法の指導

間質性肺炎の咳は乾性咳嗽と呼ばれ、その特徴として痰が気道に絡んでなくても咳がでてしまうことです。

また、「大きく息を吸った時」に咳が誘発されやすいです。

夜間は咳で眠れず、不眠症の原因になります。また、咳は1回で2kcalを消費します。

ゆっくり呼吸するよう指導することで、咳の回数をおさえ、余分なカロリー消費を抑える事ができます。

2.日常生活の指導

日常生活の中で、どの動作でエネルギーを消費するか、METs単位で表されます。

METsは身体活動による運動の強度を表した単位で、身体活動のエネルギー消費量が、安静時に消費されるエネルギーの何倍に相当するか。を数値化したものです。

METs

日常生活で呼吸苦を起こさないポイント

  • 呼吸パターンに合せてゆっくり動く
  • 呼吸困難感の強い動作では、動作を呼気に同調させる
  • 息切れを感じたら、動作の途中で休憩を入れる
  • ひとつの動作に応じて方法や手段を変更する
  • 無駄な動作を省く
  • 患者にできるADLとできないADLを把握させる
  • 環境を整備し、器具などを積極的に導入する

3.酸素投与下での運動

間質性肺炎では運動を行うと酸素を消費するミトコンドリアを介したエネルギー産生ではなく、酸素を消費しない嫌気性代謝によりエネルギーを産生します。

簡単に言うと、軽い負荷の運動でも、乳酸が溜まり疲れやすいです。

この原因の一つに、低酸素血症が考えられます。

そのため、酸素を鼻から吸いながら、出来る範囲の運動を行います。

パルスオキシメータ―監視下で行われます。

まずは筋収縮をあまり起こさない、自動介助運動から始めます。

例えば、エスカルゴ(自動でペダルが回転する機器)だと、自転車エルゴメーターのように力を入れる必要がありません。

エスカルゴメーター

エスカルゴで血中酸素飽和度が低下しなければ、徐々に負荷量を上げる事ができます。

*間質性肺炎の方に運動を行う場合には、疲労度と血中酸素飽和度の確認が必要です。疲労度は修正Borgスケールを用います。

Borgスケール

運動する際の酸素投与は何Lまで上げていいの?

上限は具体的に示されていません。疲労度(修正Borgスケール)が上がれば、血中酸素飽和度も低下します。

酸素投与量を増やす事で多少の改善は見られますが、間質性肺炎は酸素を取り込みにくい病気なので、限界がきます。

私の感覚ですが、酸素の投与量が安静時3L未満、運動して酸素5L以上になると、運動療法は控える事をおススメします。

4.リラクゼーション、ストレッチ

間質性肺炎では、夜間も続く咳により、筋肉が硬くなってきます。

重症の場合、痛みが出現し、咳と痛みのダブルパンチでうつにになる方も経験します。

自分で行えるストレッチを紹介します。

首のストレッチ

旨と背中のストレッチ

*ストレッチも意外と強度が高い運動になりますので、酸素投与下で行うことをおススメします。また、息を止めずに行ってください。

間質性肺炎のリハビリまとめ

免疫チェック阻害薬のオプジーボによる薬剤性間質性肺炎が報告されています。

間質性肺炎になるこ呼吸困難や咳、指の変形が現れ、日常生活がとても不自由になります。

治療はステロイド剤となりますが、完治は難しいです。

そのため、呼吸リハビリテーションが行われます。

呼吸方法の指導、日常生活の工夫、自分で行うストレッチ、軽い運動が大事です。