乳がん術後リハビリ

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乳がんの手術をした後に、リハビリテーションが行われることを知っていますか?

リハビリテーションを行う理由は、手術後の肩関節の可動域を落とさないようにする事、手術側の上肢の浮腫みを防止する事です。

乳がん術後リハビリテーション

乳がんの手術後には、さまざまな問題が出現してきます。

それらの問題乗り越えるお手伝いをするのが、理学療法士、作業療法士が行うがんリハビリテーションになります。

リンパ節を郭清(腋窩リンパ節を切除)した場合、腕から手先に広がるリンパが停留し、上肢が浮腫みやすくなります。

リスク管理も必要です。手術後は術創が広がる事やドレーンが抜けてしまう事、感染して化膿する事などの危険性がゼロではありません。

そのため、運動療法の進め方には注意が必要です。

がんのリハビリテーションガイドラインでは、術後0-3日の積極的な肩関節の運動療法を控えた方が良いとされています。

運動を始める際には、運動のプロである理学療法士や作業療法士が一緒に手術後のリハビリテーションを手助けします。

乳がん術後のクリニカルパス

病院には、標準的治療プロトコールとして、クリニカルパスというものが存在します。

どの患者さんにも同じ治療、ケアを提供できるように作られています。

主に、医療者用と患者さん用があります。

ここでは患者さん用クリニカルパス(乳がん術後)を紹介します。

乳がん手術後クリティカルパス

以上のような経過で入院生活を行って頂きます。

セルフリハビリ

全ての病院で、乳がんの手術後にリハビリテーションが行われるわけではありません。

がんのリハビリテーションは歴史が浅く、スタッフも充実しているとは言えないのが現状です。

そのため、自分で行うリハビリテーションを紹介していきます。

手術当日

手術後当日は痛みも強く、肩回りを動かすのがやっとです。尿道バルーンや腹腔バルーン、点滴などのルートが多く、身動きが取れません。夜間は痛み止めを使用し、眠剤を使って夜間しっかり休まれて下さい。

術後1日目

ロキソニンなどの痛み止めを使用することで、歩くことが出来るようになります。自分で行う場合は、肩を60°を目指して挙げたり、回したりして下さい。

術後2日目

セルフストレッチ開始。乳がんクリニカルパスを参照してください。

リハビリテーションを受ける場合

手術当日

手術後当日は痛みも強く、肩回りを動かすのがやっとです。

尿道バルーンや腹腔バルーン、点滴などのルートが多く、身動きが取れません。

夜間は痛み止めを使用し、眠剤を使って夜間しっかり休まれて下さい。

術後1日目

まず、関節可動域、痛み、筋力の検査を行います。

関節可動域の検査は肩関節を中心に、肘や首、脊柱といった関連する関節も検査します。

手術による可動域の制限は、肩だけではありません。

骨盤~脊柱の可動域を整えることで、きれいに肩関節の可動域を広げることが出来きます。

痛みの検査は10段階で検査します。一番強い痛みを10、全く痛くない状態を0として、今の痛みがどの程度か聞いていきます。

筋力の検査は肩回りについている筋肉を一つ一つ検査していきます。腫瘍の大きさによっては細い神経を切除している場合もあるため、筋力を検査する事が重要になります。

訓練としては、痛みを伴わない範囲で、セラピスト(理学療法士もしくは作業療法士)が患者の関節を動かしていきます。

痛みによって強張った筋肉をほぐしていきます。

筋肉の強張りは自分でほぐす事は難しいです。

早い段階から筋肉をほぐしておくことで、後々痛みが長引くことを防げます。

術後2-4日目

昨日と比較するために、関節可動域の検査、痛みの検査、筋力の検査を行います。

痛みは軽減されている分、肩関節の可動域が増えてきます。

それに伴い、肩の動かせる範囲も広がります。

2日目から自動運動(自分の力で関節を動かす運動)を行います。

これも、痛みのでない範囲です。

痛みを伴う運動を無理に行うと、目的としない筋肉が働いてしまい、正しくない運動を学習してしまいます。

その結果、肩が上がらなくなる、痛みを生じる可能性があります。

病棟での活動量も増えてきます。病棟での訓練として、歩く訓練も始まります。

シャワーや洗髪などを行い、食事は椅子に座って食べるなど、生活を通した訓練も積極的に行われます。

術後5-6日目

関節可動域の検査、痛みの検査、筋力の再検査を行います。

ドレーン抜去後に肩を後ろに上げる運動を追加していきます。

痛みのない範囲から始め、徐々に可動域を広げていきます。

肩関節の動きは2方向ではなく、多方向です。

回旋という肩を回す動きも加わってきます。

筋力検査では、神経麻痺を起こしている筋肉がないか確認します。

もし神経麻痺により筋力が低下している筋肉を見つけたら、電気治療などの物理療法を行います。

術後7日目以降

関節の可動域も広がり、痛みも治まってきます。

退院にむけたリハビリテーションを行います。

髪を結んだり、洗ったりする結髪動作や、ブラジャーのホックをつける結帯動作の確認を行います。

また、自宅で継続して行う自主訓練の方法の指導が行われます。

退院までに

理学療法士、作業療法士、もしくは看護師より、リンパ浮腫予防・早期発見のための指導が行われます。内容は以下の通りです。

リンパ浮腫の病態や治療方法

がんとリンパ浮腫

筋のポンプ作用を利用したリンパ還流を促す方法の指導

⇒手術した上肢を長時間下垂する場合や、同一の姿勢をとる場合は、手のグーパーや肘の曲げ伸ばしをリズミカルに行うように促します。

弾性着衣を着用した状態での運動に関する事

保湿及び清潔の維持等のスキンケアに関する事

⇒手術した上肢の負担や感染を避けるため清潔保持と保湿などのスキンケア方法の指導。

生活上の具体的な注意事項に関する事

⇒手術側の上肢の負担を避けるための生活動作、上肢に負担がかかった際には、軽く上肢を上げて休息をとるように指導。

炎症発生時の注意点を伝える

⇒蜂窩織炎やリンパ管炎の症状や早期受診を促すように指導。

乳がん術後のリハビリまとめ

乳がんの手術は比較的早期に退院可能です。

しかし、手術した側の肩が上がらない、手の浮腫み、炎症などの問題が生じます。

手術後の運動を適切に行わないと、日常生活にも影響を及ぼします。

手術後は理学療法士または作業療法士によるリハビリテーションを受ける事をおススメします。