がんとプロテイン

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近年、がんの悪液質対策にホエイプロテインが有効であるという報告が増えています。

悪液質になると筋肉量が減少するので、ホエイプロテインが有効であることは私も頭では理解していました。

この記事では、プロテインの種類、プロテインの副作用、がんに対するプロテインの研究結果をまとめています。

がんとプロテイン

プロテインの種類

プロテインには種類があり、種類を間違えて摂取するとトンデモナイ事になります。

私の知り合いは、体重を増やそうとドラッグストアでプロテインを自分で購入し、半年間飲み続けていましたが、一向に体重が増えませんでした。

どのプロテインを飲んでいるか尋ねてみたら、ソイプロテインを飲んでいました。

後で後述しますが、ソイプロテインは代謝を上げてしまい、むしろ体重を減らす作用があります。

その方は健康な方なので笑い話で済みましたが、がんの方だったら悪液質を助長していたかもしれないのです。

カゼインプロテイン

牛乳から脂肪とホヘイ成分を取り除いた、牛乳の80%を占めるタンパク質。

摂取すると体内でゆっくり(約7~8時間)と吸収されて、長い時間をかけてタンパク質を補給し続けるという特徴があります。

ホエイプロテイン

牛乳のタンパク質の1種で20%を占めるタンパク質。

筋肉をつくるために重要な役割を果たすBCAA(分岐鎖アミノ酸)と呼ばれるアミノ酸が豊富に含まれ、吸収もスピーディ(約1~2時間)という特徴があります。

*BCAA(分岐鎖アミノ酸)

バリン、ロイシン、イソロイシンの3種類の必須アミノ酸の総称。BCAAは筋肉の合成を促進し、筋肉と脳で代謝されます。

ソイプロテイン

植物性タンパク質であるソイプロテインは、基礎代謝をアップさせます。

ゆっくり(約5~6時時間)と吸収されて腹もちがいいことから、ダイエットによいとされています。

大豆イソフラボンが女性ホルモンと同様の効果があると期待されています。

がんの方におススメしたいのは、ホエイプロテインです。

その理由は、臨床研究で効果の報告が散見されるからです。

ここからは、文献でみつけたホヘイプロテインの効果を紹介していきます。

ホエイプロテインとがん(悪液質)

悪液質による筋肉量減少は異化作用によるものです。☞悪液質参照

ホエイプロテインを摂取することで、筋肉の異化作用を抑制する事ができます。

その他の作用についても多く報告や考察がありますので、紹介します。

1.がん治療におけるホエイプロテイン

食事戦略としてのホエイプロテインの使用は、腫瘍学の分野で広まっています。臨床診療では、ホエイプロテインの摂取による抗がん効果は見分けがつきません。しかし、ホエイプロテインの補給は、癌性悪液質症候群を緩和するための実用的で実行可能な費用対効果の高いアプローチです。ホエイプロテインの有用性は、ロイシン含有量の増加と筋骨格肥大に向けた重要な要因を表すIGF-1濃度を調節する可能性によって証明されています。

eixeira FJ. Whey protein in cancer therapy: A narrative review. pharmacol res (144).pp245-256. 2019.

2.化学療法を受けている結腸直腸癌に罹患した患者における高純度ホエータンパク質の臨床的影響

筋肉減少症と骨格筋量の両方の減少であるサルコペニアは、がん患者の転帰を妨げる可能性があります。患者は乳清タンパク質(ProLYOtin;アームA)対プラセボ(アームB)に対して無作為に1:1で盲検化されました。私たちの研究は、ホエイプロテインが栄養状態を改善し、特に化学療法中の重度の毒性を防ぐための重要な治療選択肢となりうることを示しています。

Mazzuca F. Clinical Impact of Highly Purified, Whey Proteins in Patients Affected With Colorectal Cancer Undergoing Chemotherapy: Preliminary Results of a Placebo-Controlled Study. intege cancer ther18.2019.

3.乳清蛋白質の補足は癌患者の栄養状態、グルタチオンのレベルおよび免疫機能を改善します

薬物療法の臨床的副作用は、がん患者の栄養失調を引き起こす重要な役割を果たしています。 ホエイプロテインアイソレート(WPI)は、がん患者の栄養状態を改善する可能性があります。 本研究では、タイのがん患者の栄養状態、グルタチオン(GSH)レベル、免疫、および炎症マーカーに対するホエイタンパク質補給の効果を明らかにしました。静脈内化学療法を受けた合計42人のがん患者(41〜63歳)は、タイの国立がん研究所での二重盲検比較試験で無作為化されました。患者は、40グラムのWPIと亜鉛とセレン(介入群、n = 23)またはマルトデキストリンの経口スナック(対照群、n = 19)を12日間、日中毎日摂取しました。 栄養状態、GSHレベル、免疫、および炎症マーカーをベースライン、6、および12週間で評価しました。ホエイプロテインの補給がGSHレベルを増加させ、化学療法を受けているがん患者の栄養状態と免疫を改善できることを示しています。これらの結果は、栄養失調のリスク予防戦略の実施を促進し、化学療法中の免疫機能を含むタンパク質の状態を改善します。Whey Protein Supplementation Improves Nutritional Status, Glutathione Levels, and Immune Function in Cancer Patients: A Randomized, Double-Blind Controlled Trial. J Med Food(10). 2018.

4.乳腺腫瘍のラットのグルタチオン濃度とアポトーシスに対するホエイプロテイン濃縮の選択的効果

グルタチオン(GSH)は、抗酸化防御とアポトーシスの調節に重要な役割を果たします。 GSH欠乏症は、がんを含む多くの疾患に関連しており、がん細胞のGSHレベルの増加は、アポトーシスに対する抵抗性のために化学療法抵抗性と関連しています。本研究では、7,12-ジメチルベンズ(a)アントラセン(DMBA)による治療によって誘発された乳腺腫瘍のラットにおける、GSHの前駆体である乳清タンパク質濃縮物(WPC)の効果を調査しました。腫瘍GSHレベルはWPC補充ラットで47%減少したため、アポトーシスが増加しました。結論として、WPCの補充は、腫瘍GSHレベルを選択的に枯渇させる可能性があり、したがって、WPC補充は、癌治療における治療抵抗性を克服する有望な戦略である可能性があります。

cheng SH.Selective effects of whey protein concentrate on glutathione levels and apoptosis in rats with mammary tumors. food chem toxlcol(107):pp440-448. 2017.

5.システインが、がんを細胞死から守る?

がん細胞にとって酸化還元電位の維持は、酸化ストレスへの抵抗性を増強してアポトーシスを回避し、生存を確保するために重要である。タモキシフェン耐性を獲得し、悪性化した乳がん細胞では、システインが減少してグルタチオンやタウリンが増加していた。がん細胞ではシステインとグルタミン酸の輸送体であるxCTがCD44vにより安定化され、グルタチオンの産生を導き酸化ストレスへの耐性を増強している。

小田裕昭. がんとアミノ酸代謝. 生化学86(3). pp332-337.2014.

以上のように、ホエイプロテインが栄養状態を改善させることは明らかになっています。

ホヘイプロテインを摂るタイミング

筋トレする方がホヘイプロテインを摂取する場合、筋肉トレーニング後1時間以内に摂取します。

理由は、筋疲労の回復と筋修復の効果が一番高いタイミングだからです。

がんの方で悪液質を予防する目的の場合は、食事直後がおススメです。

その理由は、今後食欲がでてきた場合にプロテインを脱して食事のみでBCAAを摂取してほしいからです。

3食の食事と合せてプロテインは1日体重1kg×1.2-2.0gを目安とします。(50kgなら60-100g)

また、亜鉛のサプリメントを一緒に摂ると効果的だと考えています。

亜鉛は骨格筋に多く蓄えられていますし、成長にも欠かせないミネラルです。

ホエイプロテインのデメリット

まず、牛乳で腸の調子を崩す方(乳糖不耐症)はおススメできません。下痢になります。

また、市販されているホエイプロテインには、多くの添加物が配合されているのが一般的です。

この乳糖を少なくしたホエイプロテインが、ホエイプロテインアイソレート(WPI)です。その特徴などを、こちらの記事に載せています。⇒WPIとがん治療

おススメのホヘイプロテイン

2020年2月より、筆者の開発したホエイプロテインが提供開始となりました。

病院で働いた経験をもとに配合されたホエイプロテインで、人工甘味料不使用、人工香料不使用、防腐剤不使用などにこだわり、健康志向となっています。

闘病中の方でも安心して飲用頂けるよう配慮されています。

詳しくは、こちら

よくある質問

Q.乳がんでホルモン治療を受けていますが、ホエイプロテインを飲んでも大丈夫でしょうか?

A.ホルモン治療とホエイプロテインの併用で気を付けるべきポイントは、体重増加です。ホルモン治療を行うと、体重が増加する薬剤もあります。⇒女性ホルモンと体重増加

ホエイプロテインは太るというイメージがありますが、それは間違いです。ホエイプロテインは低カロリー・低糖質・低脂肪の食品です。ほぼたんぱく質です。そのため、ホエイプロテインはダイエットに最適です。

Q.ホエイプロテインはWPIの方が良いですか?

A.WPIはホエイプロテインアイソレートのことで、乳糖を除去したホエイプロテインです。タンパク質も多く、牛乳でお腹を下す乳糖不耐症の方でも安心して摂取できます。しかし、値段がホエイプロテインWPCに比べて高いです。日本人の7割は乳糖不耐症と言われます。ホエイプロテインを飲んで下痢をすると、腸の働きが弱ります。腸は免疫の要なので、万全の状態に整えておくことが大事ですよね。お腹を下さないWPIをおススメします。⇒WPIとがん治療

がんとホヘイプロテインまとめ

がん悪液質は筋肉量を減少させますが、その予防にホヘイプロテインは有効だと考えられます。

その機序は、筋肉異化作用の抑制、栄養状態の改善、一部免疫機能向上を結論とする論文がありました。