がんと法律

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日本政府は、国民のがんに対してどのような対策を行っているか知っていますか?

2007年にがん対策基本法が施行されて以来、がんに対する法律は時代に合せて変化してきました。

当初は抗がん剤や放射線治療を支えていた法律も、現在はがんゲノム医療や復職支援へと変わっています。

法律の歩み、歴史を知る事で、今後の政府の方針が見えてきます。

この記事では、厚生労働省のホームページを参考に、法律改正により何が変化していったのか、まとめています。

がんと法律

がん対策基本法

(2007年4月施行)

がん対策基本法を基に、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策推進基本計画が2007年9月に策定されました。

がん対策基本法

がん対策基本法1期(2007-2011)

  • 放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師などの育成
  • 治療の初期段階からの緩和ケアの実施
  • がん登録の推進

何が変わった?

・放射線療法を行う施設の環境整備が行われた。

・新薬創出、認可短縮のために審査委員を増員させた。

・緩和ケア研修会が全国的に開催され、医師、医療従事者の緩和ケアについての基本的な知識の周知が図られるようになった。

・拠点病院を中心として、在宅医療の連携を推進した。

・拠点病院に相談支援センターが設置され、2名以上の研修を受けた相談員が配置された。

・がん予防のために喫煙の及ぼす健康被害について国民に広く認知された。

・がん検診の受診率向上が図られた。

がん対策基本法2期(2012-2016)

  • 放射線療法及び化学療法の推進並びにこれらを専門的に行う医師などの育成
  • 治療の初期段階からの緩和ケアの実施
  • がん登録の推進
  • (新)働く世代や小児へのがん対策の充実

何が変わった?

・全てのがん拠点病院内に病理診断室が設置された。

・がん患者に対するリハビリテーションに関する研修事業が開始された

・がん予防のために、生活習慣病予防の重要性が国民に広く認知された

・ロボット・ICT(情報通信技術)の導入が進められた

・全国に15カ所の「小児がん拠点病院」が指定された

・ハローワークとがん拠点病院が連携し、就労支援体制の整備を推進された




がん対策加速化プラン(2015-2016)

がんの年齢調整死亡率(75歳以下を除く)の20%減少という2017年までの目標達成が難しいと予測された為、がん対策加速化プランが策定されました。

  • 予防(避けられるがんを防ぐ)
  • 治療・研究(死亡者数の減少)
  • がんとの共生(就労支援と包括的支援)

何が変わった?

・特定検診の中にがん検診の項目が含まれるようになった。

・検診受診率などが公開されるようになった

・受動喫煙の機会を減らすための努力義務が企業へ周知された

・学校におけるがん教育が開始された。

・がんのゲノム医療の実用化に舵を切った

・希少がん対策として、希少がんワーキンググル―プを設置し、対策を検討開始。

・がんの就労を可能とするため、企業向けガイドラインを策定

・支持療法(栄養療法・リハビリテーション・漢方薬)の研究をすすめる

がん対策基本法3期(2017- )

  • 科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実
  • 患者本位のがん医療の実現
  • 尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築

何が変わった?

・1次予防(生活習慣病改善)、2次予防(がん検診)の啓発

・ビッグデータやAIを活用した医療の推進

・病理診断支援システムの研究開発推進

・がんゲノム医療実現のため、がんゲノム医療中核拠点病院を整備

・ゲノム情報解析を行う専門家や人工知能の開発研究を支援

・免疫チェックポイント阻害剤などの免疫療法の科学的根拠の形成促進

・チーム医療・他職種連携医療の推進

・がんリハビリテーションの普及

・希少がん・難治性がんの研究体制整備

・革新的な診断方法や治療方法を早期に承認できるよう支援

・全国のがん患者のがん登録が8割に

・苦痛のスクリーニングをがん拠点病院の診断時から行われるようになった

・緩和ケアに対する正しい知識の普及啓発が行われるようになった

・在宅医療の推進

・継続した就労支援の実施(治療と仕事両立プラン)




がん登録推進法

(2013年に成立し、2016年施行)

がん登録推進法

全国がん登録と院内がん登録を推進するための法律です。

全ての病院と指定された診療所は、がん患者さんの情報を都道府県へ提出する義務があります。

それらの情報は国立がん研究センターの全国がん登録データベースへ蓄積されます。

これらのデータを基に、がんに関わる研究や調査が行われ、その成果を国民へ情報提供される仕組みです。

以前ツイッターでもツイートしましたが、みなさんの通院や入院の情報が、未来の医療発展を支えています。

がんの法律まとめ

がんの法律として、2007年より「がん対策基本法」が施行されました。

当初はがん拠点病院を中心とした標準治療の確立が中心でしたが、徐々に人工知能やビッグデータの活用にシフトし、がんゲノム医療拠点病院は全国に指定されました。

また、緩和ケアや就労支援も整備され、がんに対する理解の周知も行われています。

今後も6年毎の改正が行われる予定となっており、現場の声、当事者の声を反映した改正が望まれます。