腹膜播種

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腹膜播種は、子宮がんや胃がんに多くみられ、腹水の原因にもなります。

腹膜播種がみつかるとステージⅣと診断され、手術も対象外になります。

腹膜播種の治療はエビデンスが確立されていませんが、先進医療も行われています。

詳しい腹膜播種のサイトは少ないので、分かり易くまとめました。

腹膜播種

腹腔や胸腔では、がん細胞が各臓器を包む症膜や皮膜を貫通すると、その外にある腔内へばらまかれるように進展し、その先で炎症を起こします。

これを、腹腔内なら腹膜播種、胸腔内なら胸膜播種と呼びます。

胸水や腹水の貯留により苦痛が生じます。

腹水・KM-CART

腹膜播種が見つかれば、「ステージⅣ」として扱われるため、手術療法は適用されず、抗がん剤の全身的投与、腔内投与が行われます。

根治手術が行われた早期胃がん症例の0.5%(200人に1人)は腹膜播種が発生し、

胃の固有筋層に浸潤した症例の5%(20人に1人)に腹膜播種が発生します。

腹膜播種の機序

腹膜播種の機序と臓器がん

  • 子宮がん
  • 胃がん
  • 大腸がん(小腸なども含む)
  • 肝臓がん

腹膜播種の内視鏡画像

腹膜播種の予後

腹膜播種が見つかると、ステージⅣとなり、手術適応外となります。

腹膜播種=余命が短いわけではありません。

臓器癌自体の進行具合により、予後が変わりますので、腹膜播種が見つかっても長く存命されている方もいます。




腹膜播種の検査

PET-CT検査

大腸癌の腹膜播種の診断には有用です。

胃がんの腹膜播種は有用にならない場合があります。

腫瘍マーカー

腹膜播種では、CA125の上昇が認められます。

しかし、卵巣癌の場合は卵巣癌により上昇している可能性もあります。

腫瘍マーカーはあくまで補助的診断ですので、CA125が上昇している=腹膜播種とはなりません。

腫瘍マーカーの見方

審査腹腔鏡

腹膜播種を確定させるには、審査腹腔鏡を行います。

直接カメラを腹腔内へ送り、腹壁や腹腔内の臓器に播種がないか確認する検査です。

疑わしい部位は切除して生検へ出します。

腹水がある場合は、病理検査へ出します。

洗浄細胞診

手術時に、腹腔内を生理食塩水で満たし(洗浄)、回収した生理食塩水内にがん細胞がないか確認します。

がん細胞が含まれていた場合、洗浄細胞診陽性と判断され、腹膜播種が疑われます。

腹腔内に浮遊するがん細胞が、腹腔内臓器へ付着しないよう、お腹を閉じる前に大量の生理食塩水で腹腔内を洗浄します。

*私も腹腔内の手術を見学した経験がありますが、約10Lの生理食塩水を次々と投入し、ジャバジャバ洗浄されていました。

触診

開腹手術の場合、主治医が腹腔内の臓器を触診し、腹膜播種を疑います。

*これは基本的手技ではなく、熟練の医師のみが行える技かもしれません。

腹膜播種の治療

手術

腹膜播種に対する腹膜切除術

適応:65歳以下の腹膜播種

完全切除できれば予後良好となります。また、女性の方が術後の予後が良好との報告もあります。

岸和田徳州会病院、草津総合病院、金沢医大病院、氷見市民病院が腹膜切除術について学会報告されていましたので、腹膜切除術を行っていると思われます。

*医師の移動などにより、現在は行われていない可能性もあるので、問合せ下さい。

腹膜切除術

抗がん剤(先進医療B)

がんの先進医療について詳しく

S-1内服投与 + パクリタキセルの経静脈・腹腔内併用投与

適応:膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る)

医療機関:

(北海道)北海道大学病院

(大阪府)関西医科大学附属病院

S-1 内服+ シスプラチンの経静脈・腹腔内併用投与(先進医療)

適応:膵臓がん(遠隔転移しておらず、かつ、腹膜転移を伴うものに限る。)

医療機関:

北海道    国家公務員共済組合連合会 斗南病院

新潟県    新潟県立がんセンター新潟病院

福島県    一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院

福井県    福井大学医学部附属病院

石川県    国立大学法人金沢大学附属病院

東京都    帝京大学医学部附属病院

東京都    東邦大学医療センター大森病院

神奈川県 関東労災病院

栃木県    自治医科大学附属病院

愛知県    名古屋大学医学部附属病院

大阪府    公益財団法人田附興風会医学研究所 北野病院

大阪府    大阪警察病院

大阪府    市立豊中病院

大阪府    地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪国際がんセンター

兵庫県    兵庫医科大学病院

兵庫県    独立行政法人労働者健康安全機構関西労災病院

徳島県    徳島大学病院

福岡県    独立行政法人国立病院機構九州がんセンター

福岡県    独立行政法人国立病院機構九州医療センター

鹿児島県 鹿児島大学病院

ゲムシタビン静脈内投与+パクリタキセル腹腔内投与の併用投与

適応:腹膜播種を伴う膵臓がん

医療機関:

(東京都)日本医科大学付属病院


腹膜播種まとめ

腹膜播種は子宮がん、胃がんで多くみられますが、腹腔内の臓器がんは腹膜播種を起こす可能性があります。

腹膜播種になるとステージⅣと診断されます。

PET-CT、審査腹腔鏡検査、細胞診が有用です。確立された治療はありませんが、先進医療である抗がん剤腹腔内投与や腹膜切除術が試されます。

腹膜播種は現在多くの研究が行われており、播種転移のメカニズムが分子レベルで解明されつつあります。

今後の進展が期待されます。