化学療法や放射線治療を受けると、白血球、赤血球、血小板の値が低くなる骨髄抑制を生じることがあります。
骨髄抑制は時間とともに回復しますが、その間は感染症などに注意が必要です。
骨髄抑制に対する対策や分類などを、分かりやすくまとめました。
骨髄抑制のキホンと対策
骨髄とは?
骨髄は、全ての細胞の基になる幹細胞を作り、血液細胞(白血球、赤血球、血小板)へ成長させる機能を持っています。
とても重要な機能であり、骨髄は堅い骨に守られて存在しています。
しかし、抗がん剤は骨髄細胞の働きを阻害してしまいます。
そのため、骨髄抑制と呼ばれ、血液細胞の減少が起こってきます。
骨髄抑制
化学療法により血液をつくり出す骨髄の機能が障害を受けると、白血球や赤血球、血小板などが減少します(骨髄抑制)。
そのため、常に注意を払う必要があります。
骨髄抑制はグレード1-5に分類されます。(北海道医療大学がん予防研究所 小林正伸先生参照)
グレード1では治療を要しませんが、2以上になると、何らかの対策が講じられます。
一般的に、骨髄抑制は2週間で回復するとされており、安静に待つことが大半です。
骨髄抑制の症状
白血球と感染症
白血球は免疫機能に関与しているため、白血球が低値になると、感染症を起こしやすくなります。
白血球の関わる免疫について⇒免疫の仕組み・免疫を高める方法
感染症による発熱がみられた場合は、抗生物質や抗真菌剤が投与されます。
白血球の好中球数が過度に減少した場合、G-CSF投与がガイドラインに則り使用されますが、慎重に検討されます。
赤血球と貧血
赤血球(ヘモグロビン)は栄養や鉄分を運ぶ役割があるので、赤血球が低値になると、貧血や、慢性的には栄養不足などの症状も現れてきます。
ヘモグロビンが7g/dL以下になると、輸血が行われます。
血小板と出血
血小板は血液を1次凝固させる働きがあり、血小板が低値になると出血が止まらなくなります。
血小板が2万を下回ると、血小板輸血が行われます。
血液データについて詳しく知りたい方⇒がんの血液データの見方
骨髄抑制の時に気をつける事
- 手洗いうがい
- 不要な外出は控える
- マスクを着用する
- 体を清潔に保つ
- バランスの良い食事を摂る
骨髄抑制は、一時的に起こる症状なので、その期間だけ安静にしておくのが一番です。
しかし、就労しながらがん治療を行うAYA世代も多くなっており、自宅で安静をとれる方は少ないです。
お仕事や外出の際には、手洗いうがいや予防を行いましょう。
また、食事で骨髄抑制を改善するエビデンスはありません。
骨髄抑制まとめ
化学療法や放射線治療を受けると、血球の減少がおこりますが、これを骨髄抑制と呼びます。
骨髄抑制になると、感染症や貧血、出血傾向に注意が必要です。骨髄抑制を改善する方法はなく、回復するのを待つのみです。
その間に感染症などのリスクが高まるので、手洗いうがいやバランスの良い食事を摂る事が重要になります。
コメント
情報ありがとうございます。骨髄抑制グレード4の患者さんのケアに関わりました。グレードに対しての知識が不充分だったので、帰宅させるところでした。