がん治療の副作用として起こる口内炎は、とてもストレスになります。
口腔内の痛みは慣れることもなく、メンタルも落ちます。
癌治療のために我慢するしかないと考える患者さんも多いです。
有効な方法は少ないですが、その中からいくつかご紹介します。
抗がん剤による口内炎
発生時期と機序
口内炎は、抗がん剤や放射線治療後の数日~10日目ごろに発生しやすいです。
抗がん剤治療を受けている約6割の方に、発生すると言われます。
2~3週間で徐々に改善してきます。また、予後は良好です。
リスク因子
①口腔衛生状態の不良
口腔内には雑菌が多く繁殖しています。歯磨きは1回10分、食後に行います。
また、義歯不適合や歯周病でも口腔不衛生になりますので、癌治療を行う際には歯科治療が大事です。
②免疫能の低下
口内炎は、免疫能が低下している時に発生しやすいです。食事量の低下、ステロイド剤の使用、糖尿病など様々な原因で免疫能が低下します。
③栄養状態の不良
抗がん剤治療に伴う嘔気や胃腸障害により、食事量が低下します。栄養不良は口内炎を起こすリスクとなりますので、血中アルブミンが低い場合などは注意が必要です。
④放射線治療の併用
頭頸部癌の治療のために、口腔周囲に放射線治療を行うと、粘膜障害や唾液分泌抑制による口腔乾燥が出現します。
⑤喫煙
ニコチンは口腔粘膜血管の収縮をきたし、白血球、マクロファージの機能低下を引き起こします。また、歯石形成が促進され、口腔細菌叢の変化を起こします。それらが口内炎のリスクになります。
⑥抗がん剤の多剤投与
口内炎予防のための検査
血液検査
CRP(C反応性蛋白)の上昇
口内炎の程度によっては、CRPが上昇してくることもあります。
血球減少
先にも述べましたが、骨髄抑制などで白血球が減少すると口内炎発症のリスクになります。
総蛋白、アルブミンなどの栄養の指標
低栄養は口内炎のリスクになります。
体重測定
簡単な栄養指標の検査は、体重を測る事です。体重が減ってくると、大抵は食べれていないので、栄養も足りていません。
口内炎の薬物治療
口内炎の疼痛を軽減させたり、治癒を早めたりする治療が主です。
自分で行う口内炎治療
ローヤルゼリー
ローヤルゼリーはフリーラジカル産生抑制作用を有することが明らかであり、炎症の鎮静化作用が明らかになっています。実際に、ローヤルゼリー含有フィルムを貼ると、口腔内面積の縮小が認められています。
市販のチョコラBB
薬局で販売されているチョコラBBは、ビタミンが豊富に含まれています。不足しがちなビタミンを補う事で、口内炎が早く治癒できます。チョコラBBは私の家にも常備薬としておいてありますが、1960年代に行われた研究と知って驚きました。そんな昔からあるとは。
レーザー治療
歯医者さんで行えるレーザー治療は、治療時間が約3分と短く、沈痛、殺菌、止血効果があります。値段は自由診療なので医院により異なりますが、約3000円くらいでしょうか。
その他
塩うがい、塩を塗る、冷やすなど言われますが、根拠はないようです。しかし、先人の知恵は馬鹿になりません。試してみる価値はあり?
口内炎まとめ
口内炎は癌治療患者さんの約6割におこる副作用であり、地味に辛いです。
医師は治療を優先しているので、「治るまで我慢ですよ。」と言いますが、食欲減退、食事量低下、栄養不良などの悪循環になる可能性があります。
また、メンタルも落ちます。
癌治療を継続できるように、予防と早期対策が重要です。
重篤副作用疾患別対応マニュアル. 厚生労働省.