がんになると、体重が減少するイメージを持っている方は多いと思います。
がん治療や癌自体により食事量が低下し、体重が減るケースが多いからです。
しかし、がんになって体重が増える方もいます。
その原因についてまとめました。
がんと体重増加
体重はいつでも簡易に測定できる検査です。
がん治療中は体重の増減が激しいので、毎日測定する必要があります。
体重増加の要因
1.腹水がたまる
体重の増加が起こった患者さんで、一番多く体験するのは、腹膜播種や肝臓がんによる腹水の貯留です。
腹水が貯留すれば腹部の圧迫感や食欲低下、腹部周計の増大がおこるのですぐに発見できます。
2.下肢の浮腫
婦人科系がんの手術歴のある方に多くみられます。
例え手術が10年前だとしても、何らかの事象をきっかけにして下肢の浮腫が出現することもあります。
3.ホルモン治療の副作用
ホルモン療法では、薬剤副作用による食欲増進、ホルモンバランスの崩れ、ストレスによる過食により体重増加が起こります。
プロゲステロン製剤のLH-RHアゴニスト(リューブレン、ゴセレリン)は脂肪吸収促進、中性脂肪値の増加を起こす可能性があります。
ホルモン治療中の体重増加の要因
閉経前、BMIが低い(痩せている)、運動習慣がない、倦怠感が強い、年齢が若い、総摂取カロリーが多い、果物や野菜の摂取量が少ない。
4.腫瘍の増大
これは直接的な要因というより、間接的要因と言えます。
腫瘍の増大がおこる際には、がん細胞から多くのサイトカインが分泌されており、体内の組織に影響を与えています。
ホルモンの変化や脂肪組織の変化が起こり、結果体重が増加してくるケースです。
特に、卵巣癌の方に多い印象です。
体重増加は腫瘍サイン?
食欲もあり、3食たべていたので何も気にしていませんでした。
それから3カ月後に、お腹が張ってガスが溜まり、腰が痛いと言われました。
検査(超音波、CT検査)した所、こぶし大の卵巣癌(転移)が見つかりました。
半年前のCT検査では卵巣癌がなかったので、体重増加は腫瘍増大のサインだったかもしれません。
それから体重増加を伴った卵巣癌の方を何人か経験しています。
体重増加は、腫瘍増大のサインになるかもしれません。
がんと体重増加まとめ
がんになると体重減少する方が多いですが、反対に体重が増加する方もいます。
体重増加の要因は腹水や浮腫などの水分貯留のケースが多いですが、稀に腫瘍増大を伴う事もあります。
食事量は変わらないのに体重が増加する場合は精密検査を検討してください。