骨粗鬆症

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がん治療を長期間受けていると、骨密度が低下する事が明らかになっています。

骨密度が低下する病気を、骨粗鬆症と言います。

婦人科系癌の外科治療、放射線治療、抗がん剤治療は骨粗鬆症を引き起こすリスクになります。

骨粗鬆症による骨折は、「いつのまにか骨折」と呼ばれ、高齢者に多くみられます。

がん治療と骨粗鬆症についてまとめました。

がんと骨粗鬆症

がん患者の骨粗鬆症のリスク

閉経前に卵巣機能が失われると、重大な骨密度の低下を引き起こす事が数々の報告で明らかになっています。

骨密度とは、骨に存在するミネラル(カルシウムなど)がどの程度あるかという単位面積あたりの骨量を示し、骨の強度を表しています。



外科的閉経による骨密度

婦人科系癌の摘出術後は、ホルモン分泌が低下するので骨密度が低下します。

  • 卵巣摘出後平均22年経過した54歳の骨密度は、73歳の健康女性と同等であった。
  • 女性の骨密度は、年齢ではなくエストロゲン欠落後の年数である可能性がある。
  • 卵巣摘出後1年で骨量は、自然閉経の2倍以上減少(7.02%)する。
  • 閉経後であっても卵巣摘出すると骨粗鬆症骨折の増加が報告されている。⇒閉経後の卵巣は排卵しないが性ステロイドホルモン産生能を閉経後10年は有している

放射線治療による骨密度

  • 腹部や骨盤への放射線照射は骨密度に悪影響を与える。
  • 子宮頸がんの放射線治療を受けた患者の骨盤不全骨折の発生率は、2年で36%、5年で63%と高率である。
  • 腹部放射線治療は骨密度を低下させ、脆弱性骨折のリスクとなる。

化学療法による骨密度

  • 使用する抗がん剤の種類によっては、卵巣機能不全を起こし、治療開始から6カ月より明らかな骨密度の減少をきたす。要注意なのは、シクロフォスファミド、プラチナ製剤、アンスラサイクリン、タキサン。
  • 化学療法+高用量ステロイドの併用でも、椎体骨折のリスクが増える。
  • 6か月以上の長期間の化学療法では、骨密度の低下が起こり、椎体骨折のリスクも増えてくる。

骨粗鬆症の検査

原則として、腰椎L1-L4または大腿骨頸部のレントゲンから骨密度を測定します。

骨粗鬆症の治療薬

エビデンスの高い骨粗鬆症の治療薬

骨粗鬆症の治療は薬物治療が中心です。

第一選択は、ラロキシフェン、アレンドロネート、デノスマブになります。

ラロキシフェン

閉経後に分泌が減少したエストロゲンによる骨代謝のバランスを調整し、骨量の低下を改善することで骨粗鬆症における骨折などの危険性を低下させる薬です。

アレンドロネート

骨を壊す過程を抑えて骨量の低下を抑え、骨を強くし骨粗鬆症による骨折などの危険性を低下させる薬です。

デノスマブ

骨を壊す過程(骨吸収)を亢進させる体内物質を阻害し骨粗鬆症による骨量低下などを改善する薬です。

 

ただし、骨粗鬆症治療薬は、骨折のリスクを100%軽減させるものではありません。

大事なのは、骨密度が年齢に対してどの程度なのかを把握し、骨折しない動作を知る事です。

 

骨折しないための日常生活動作

自分でできる骨粗鬆症の骨折予防

  • ウォーキングをする:全身運動をおこないましょう
  • 腹筋、背筋を鍛える:背骨にかかる負担をへらしましょう
  • バランスを鍛える:転倒しにくい身体作りをしましょう
  • 運動靴をはく:転倒しないようにしましょう
  • 両足をそろえない:負担を減らしましょう

 


がんと骨粗鬆症まとめ

婦人科系のがん治療では、骨密度が低下する骨粗鬆症のリスクが高まります。

骨密度が低下していた場合は、骨粗鬆症に対する薬物治療が行われます。

しかし、100%骨折を予防できないので、骨折を起こさない動作を知る事が重要です。

 

参考文献
澤田健二郎. 婦人科悪性腫瘍治療後の骨粗鬆症. 産婦人科の実際65(5)。2019.