がんと自律神経

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自律神経は、呼吸、循環、消化と吸収、排泄など、人間活動の全てに重要な役割を担っています。

自律神経を整える方法はよく紹介されていますが、がんへ及ぼす影響についてはあまり聞いたことがありません。

今回は、がんと自律神経について、基本をおさらいしながら、まとめていきます。

交感神経と副交感神経の作用

交感神経と副交感神経

身体と自律神経とがん

興奮状態は交感神経が優位になった状態です。反対に、穏やかな状態は、副交感神経が優位になった状態です。間違いやすいのは、消化管の活動は、副交感神経が優位になると促進される点です。就寝時は副交感神経が優位になり、消化活動が活発に行われます。「就寝前に太る」とよく言われますが、それは食べ物がすぐに消化され、体内へ吸収されるからです。

自律神経と薬剤

自律神経と薬剤

併存する疾患に対し、薬剤治療が試みられますが、薬剤も自律神経に影響を与えています。高血圧に対する降圧剤、消化不良に対する整腸剤など、常用薬として用いられる薬も、自律神経に影響を与えています。






がんと自律神経

自律神経とがん

自律神経とがんの関係を調べた論文はとても少ないです。その要因は、自律神経の検査手技が確立していない事だと言われます。その中でも、乳がんと前立腺がんだけは論文が投稿されていたので、紹介します。

乳がんと自律神経

乳がんの成長と進行は、腫瘍内の交感神経刺激により加速されたが、副交感神経の刺激後には減速した。(マウス実験)

また、悪性腫瘍におおける交感神経密度の増加(すなわち、悪性腫瘍に交感神経が絡み合っている密度)は、転帰不良のケースに繋がっている。(ヒトを対象とした実験)

参考文献
Kamiya A. Genetic manipulation of autonomic nerve fiber innervation and activity and its effect on breast cancer progression. Nat Neurosci. 2019 Aug;22(8):1289-1305.

前立腺がんと自律神経

前立腺がんの発生は、交感神経の切除(外科的アプローチ)と、アドレナリン受容体の遺伝子ダウンレギュレーション(遺伝子操作)マウスにおいて、予防された。また、前立腺がんモデルマウスに対して副交感神経(コリン作動性繊維)またはその受容体を阻害すると、マウスの生存率が向上した。(マウス実験)

前立腺がん組織の周囲には、交感神経線維と副交感神経線維が密接に絡み合っており、その密度は転帰と関連していた。(ヒトを対象とした実験)

参考文献
Magnon C. Autonomic nerve development contributes to prostate cancer progression. Science. 2013 Jul 12;341(6142):

自律神経を整える方法(一般論)

自律神経を整える方法はいくつも存在します。どの方法を選択するかは、自由です。大事なのは、自律神経が整ったかどうかを、可視化(みえる化)することです。

自分で一番分かりやすいのは、”脈拍を測る事”です。できれば、24時間モニタリングできるような機器を用いて測定して下さい。(脈拍を意識すると、速くなることも)

ツボを圧す

鍼灸師が行う自律神経の調整方法を教えてくれました。

爪揉み

鍼灸師が教える爪揉み療法・交感神経
鍼灸師いわく、5本指の中で、第4指は交感神経を高めるそうです。副交感神経を高めたい場合は、第4指以外の第一関節を揉んでください。また、就寝前は、第4指以外を揉むとよいです。

内関(ないかん)

鍼灸師が教えるツボ刺激・内関

内関は、交感神経を高めます。

太衝と百合

鍼灸師が教えるツボ刺激・太衝鍼灸師が教えるツボ刺激・百合

交感神経が高ぶった状態を、東洋医学では「氣が溜まっている状態」と捉えるようです。

そんな時は、ツボを圧して氣をだしてあげます。

太衝を圧して氣を頭部(上方)へ押し上げ、百合を圧して氣を放出させます。

百合だけを圧すと、逆に氣をため込んでしまい、交感神経優位となるので、注意されて下さい。

深い呼吸

深い呼吸は、副交感神経を優位にします。

特に呼気(息を吐く)を長くしましょう。

リラックス

全身の筋肉を弛緩させると、副交感神経を優位にできます。

入浴

温熱効果である末梢血管拡張は、副交感神経を優位にします。新陳代謝の促進や乳酸の排泄増加も起こります。

生活習慣を整える

  • 朝から太陽を浴びる
  • 朝食を必ず同じ時間に食べる
  • 就寝2時間前に入浴をする
  • 就寝前はスマホを使わない(ブルーライトを避ける)
  • 就寝中は電気を消す
  • 睡眠のリズムを整える

コーヒーを習慣化

コーヒーの摂取は、常飲者の場合は、副交感神経を優位にします。しかし、飲み慣れてない人だと、コーヒーを飲むと一時的に交感神経が優位になります。

参考文献
種村一識. コーヒー摂取が胃運動および自律神経活動に与える効果の検討. 日本栄養・食糧学会誌 第65巻(3). pp113-121. 2012.





自律神経と体重増加

ホルモン治療の副作用でおこる食欲増進(→体重増加)は、自律神経へのアプローチが試みられます。自律神経の中枢と、ホルモン分泌の中枢は視床下部です。詳しくはこちらから⇒女性ホルモンと体重増加

がんと自律神経まとめ

乳がんと前立腺がんの発生と進行は、自律神経の影響が研究されています。

両者とも性ホルモンが関連しており、自律神経と性ホルモンには密な関係があると推測されます。

自律神経を整える方法は、生活習慣の改善や入浴、リラックスなど、自分で実行できます。