筋力の衰えとタンパク質

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がん治療をされている多くの方が、体力の低下、筋力の低下を実感されています。それらを予防するために運動が大事と言われても、がん治療中に気力を振り絞ってトレーニングを続ける事は、容易ではありません。

がんに伴う体力や筋力の低下は、がん治療をされている方なら必然的に起こります。だからこそ、予防が大事だと考えています。私は多くのがん患者様と共に運動療法を指導してきました。エビデンスのあるトレーニングを調べ上げ、何とか迫りくる筋力の衰えを運動療法で防ぎたいと、四苦八苦してきました。

その経験から一つ言える事があります。それは、「筋力が衰え始める前に予防しなければならない」です。運動、トレーニングは大事です。しかし、それだけでは不十分でした。何度も悔しい思いをしました。

前説が長くなってしましたが、この記事を最後まで読む事で

  • がんによる筋力低下のメカニズム
  • 筋力低下を予防するたんぱく質食品の有効性

について理解する事ができます。もしこの記事を読まれているあなたが、体力や筋力の低下に少しでも不安を抱えているならば、参考にされて下さい。

がんによる筋力低下

がん治療に伴う筋力の衰えには、様々な要因がありますが、分かり易くまとめると、図のようになります。

がんによる筋肉量減少のメカニズム

このように、がんに伴う筋力の低下が起こる原因は、複数の因子が絡み合っています。がん治療のために行う薬物療法(抗がん剤やステロイド)でさえ、筋力を落とす原因の一つです。この略図から、がんによる筋力低下が必然である事が理解できると思います。

主治医に相談しても、がん自体を治療することを優先するため、良いアドバイスがもらえない事も多いです。筋力を落としたくないから、治療をしないなんて、主治医が当然受け入れてくれるハズがありません。私も、オススメしません。。。

がんに伴う筋力の衰えを改善するためには、運動療法、筋力トレーニングが必要ですが、継続する事は容易ではありません。さらに、十分な栄養を摂れていない方も多いです。栄養が十分でない状態でのトレーニングは、逆効果となります。

筋肉の原料はタンパク質

有酸素運動

筋力低下の原因は複数の因子が絡み合っていますが、筋肉が減る現象は同じです。それは、筋肉の分解です。筋肉はたんぱく質で構成されているため、筋肉の低下は、筋タンパク質の分解とも言えます。

筋力、体力、免疫を保つためには、栄養状態(特にタンパク質)を整える事が大事になります。がん治療中やがん進行中の方は、食欲がありません。そのため、栄養不足は否めません。外からたんぱく質が摂取不足の場合でも、身体の中ではタンパク質が必要です。たんぱく質を補うために、筋肉を分解しているという考えもあります。

ここで一つの結論ですが、がんに伴う筋力低下を予防するためには、「たんぱく質を十分に摂取した状態で運動する事」が重要になります。

理想のたんぱく質摂取量は、g/体重/日 です。60kgの方ならば、1日60g。特に、朝は20gのたんぱく質が必要と言われますが、治療中でなくともこれだけのたんぱく質を摂っている人は少ないでしょう。だからこそ、飲んでたんぱく質を摂れるプロテインでたんぱく質を補給する事をオススメしたいです。

多分、プロテインに対して抵抗のある方は多いのではないでしょうか。なぜなら、カラダに悪そうだから。しかしながら、海外においてはそのプロテインをがんに伴う筋力低下の予防として使用しています。

*プロテインとは、牛乳や大豆から作られる自然由来のたんぱく質です。普段から口にしている食べ物を、濾してパウダーにしただけですから、安心して下さい。

がんに伴う筋力の衰えには、プロテイン。

がん患者を対象としたホエイプロテインアイソレート(分離ホエイたんぱく質)の研究が、cancer medicine(がん医学)雑誌で、2019年に報告されました。

ホエイプロテインはWPC(濃縮ホエイたんぱく質)とWPI(分離ホエイたんぱく質)に分けられており、一般的に流通しているのは、WPCですので、ご注意ください。

ホエイプロテインアイソレート(WPI)とがん

英語論文ですので、こちらで詳しくご紹介します。

WPIはがん治療患者の筋力と治療耐性を改善する

タイトル

「ホエイプロテインアイソレートサプリメントは、化学療法を受けている栄養失調の進行がん患者の体組成、筋力、治療耐性を改善します」

方法

人工栄養(経口または経腸栄養)を行っていないがん治療患者(疾患もランダム)に、栄養の評価が行われ、栄養が低下してるヒトを対象とされました(166人)。

普段通りに生活とがん治療を続けながら、ホエイプロテインアイソレート(WPI)を摂取するという方法です。低栄養状態であるため、高カロリー食なども通常通り提供されています。また、特別な筋力トレーニングは指示されていません。

WPIは、たんぱく質20gに調整されました。WPIの取り方は自由で、水に溶かして飲んだり、食事に配合されたりしました。

結果

ホエイプロテインアイソレートとがん

WPIの摂取により、握力(筋力)、体組成、痩せが改善され、がん治療毒性も低下していました。また、心配される明らかな胃腸系の症状は記録されておらず、WPI摂取による有害事象は確認されませんでした。

WPIを摂取しない群は、推奨されるたんぱく質を摂取できていませんでした。つまり、がん治療患者の大半は、必要なたんぱく質を摂取できていない事が分かりました。

考察

なぜWPIが、がん治療の筋力や治療耐性を改善したのか考察されています。簡単にまとめますと、以下の4つが挙げられていました。

  • WPIによりたんぱく質が十分に摂取できた
  • WPIに豊富に含まれる必須アミノ酸により、筋肉減少を抑制できた
  • WPIに含まれるシステイン(アミノ酸)による細胞保護効果
  • 筋肉たんぱく質の貯蔵が図れた

まずは、たんぱく質不足をホエイプロテインアイソレート(WPI)で解消した事が、筋力低下の予防に大きく影響していると考えられます。

次に、WPIのアミノ酸です。WPIは良質なたんぱく質であり、必須アミノ酸の中でも筋肉に必要とされるロイシン、イソロイシン、バリンを多く含んでいます。これらの必須アミノ酸が筋肉に働いたと考えます。後は副産物かもしれませんが、細胞保護効果などが良い方向に働いたのかもしれません。

この論文から、WPIの摂取は、がん治療に無害であること、そして筋トレをしなくても一定の効果があることが分かりました。

以上から、ホエイプロテインアイソレート(WPI)の摂取は、筋力低下を予防する手段となります。もちろん、しっかり3食のご飯は食べてください。栄養の基本は食事からです。しかし、それでは不十分なので、ホエイプロテインアイソレートを足して、必要なたんぱく質量を補給されて下さい。

がん治療中のプロテインは、リハテインWPI。

私はこの論文を読んだ後に、患者さまへホエイプロテインアイソレートを勧めようと思いましたが、一度踏みとどまりました。市販のプロテインは、人工添加物が多く配合されており、がん治療中の方にオススメして良いのか、とても不安でした。

そこで、不要な添加物を使用しないホエイプロテインの開発を決意しました。多くのプロテイン製造会社は、私の意見など聞いてくれるハズもなく、実用化まで約2年かかりました。

商品名は、「リハテインWPI」です。

リハテインWPIは、論文を参考にして、ホエイプロテインアイソレートを原料に使用しており(商品名にもWPIと入ってます)、危惧していた人工甘味料、人工香料、砂糖、不要な添加物を使っておりません。1杯25gで、論文と同じ20gの動物性たんぱく質が摂取できるように調整してあります。

また、筋肉の衰えを予防できるように、筋合成に必要な必須アミノ酸である「ロイシン」を配合しました。

食事から十分にたんぱく質が摂れない方、がん治療により筋力の衰えを感じている方は、是非検討されて下さい。ご質問があれば、Twitterや問合せから対応します。

リハテインWPIは、こちらから⇒https://dagoe.stores.jp

*プロテインはがんを直す手段ではなく、あくまでもたんぱく質を補給するための手段です!