鉄とがん

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鉄は生物に必要な金属ですが、過剰になると障害を起こします。

鉄は体内で再利用されており、排泄機能を持たないため、微妙な調節を行っています。

そのような特性を持つ鉄が、がんに与える影響についてまとめました。



鉄とがん

鉄の代謝

私たちの身体には、2~4gの鉄が存在しています。たったそれ位です。

鉄は主に、骨髄で赤血球の造血と、多くの細胞分裂や増殖、維持に利用されています。

そして、使われた鉄は再利用されるのです。

そのため、私たちが1日に鉄を吸収する量は、1mg/mlとごく僅かです。

がんと鉄。鉄の代謝

鉄の吸収は十二指腸で行われますが、鉄欠乏状態では、その吸収能を10倍に増加させることも可能であるとの報告もあります。

また、十二指腸で取り込まれた鉄は、特異的なタンパク質と結合して細胞内へ取り込まれます。やはり、タンパク質は大事です!

私たちの身体にある鉄の70%は、赤血球のヘモグロビンや筋肉中のミオグロビンに存在し、残りの30%は、肝臓や骨髄、筋肉などに、貯蔵庫としてストックされています。
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト より引用)

がんと鉄の研究報告

がんと鉄の研究報告

参考文献

  1. Vela D: Iron Metabolism in Prostate Cancer; From Basic Science to New Therapeutic Strategies. front Oncol 27(8); 574, 2018.
  2. Yanbin Kuang: Iron and lung cancer. Cancer Letters464; 56-61, 2019.
  3. Stevens RG et al: Body iron stores and the risk of cancer. N Engl J Med 319(16); 1047-1052, 1988.
  4. 高後 裕: 鉄代謝と鉄過剰. 本内科学会雑誌100; 46-50, 2011.

以上のように、鉄が過剰になる状態が続くと、がん化しやすいです。

鉄が過剰になると、フェントン反応(二価鉄を触媒として過酸化水素からヒドロキシルラジカル(・OH)が発生する化学反応)が起こります。

その結果、脂質過酸化、細胞障害、アポトーシスなどの反応が起こり、がんが発生しやすくなります。

鉄過剰になる要因(二次性のみ)

鉄過剰の要因

肝機能障害

鉄過剰の原因に、肝障害が挙げられます。これは、肝細胞から産生されるヘプシジンが重要だからです。ヘプシジンは、生体内で鉄が増えてくると肝臓で産生され、結果、鉄吸収を低下させ、鉄の排出まで促します。鉄が欠乏すると、ヘプシジン産生が低下し、逆の働きが起こります。肝臓が悪くなると、このヘプシジン産生能が低下するので、鉄過剰状態に陥りやすくなります。

輸血

後方視的に、いくつかの輸血を必要とする病気の患者の死因を調べた調査では、心臓や肝臓への鉄沈着による臓器不全が因子であったとの報告もあります。そのため、長期輸血患者には、心臓鉄量の定期的な評価が重要視されています。

*私は輸血が悪だと思っておりません。輸血は医師の指示で行われる医療行為であり、輸血は命に関わる状態の時に行われます。医師が総合的に必要と判断された輸血は必要だと思います。輸血を行った事で、回復された方を何人もみてきました。

サプリメント

輸血もなく、肝機能障害のない方が、通常の食事を行っていれば鉄が過剰になる事はありません。しかし、例外はサプリメントを大量に摂取している場合は、過剰になります。ご注意を。

鉄を多く含む食事

がんと鉄を多く含む食品

1日に摂ると良い鉄の量は、男女差こそあるものの、約6.0-7.0gです。



まとめ

鉄の過剰は、臓器障害を引き起こし、がんのリスクも高まる事が報告されています。

鉄の過剰を防ぐためには、肝臓の働きが重要です。

鉄は生体内で再利用されており、1日の吸収量は1mg/mlとごく僅かなため、鉄分サプリの摂取が必ず必要とは言えません。